2009年7月16日、トムラウシ中高年ツアー登山の大量遭難があった。悪天候の中、次々と低体温症を発症し凍死した。この件について、事故後から11月ごろまで、このBlogでもいろいろと書いてきたが、登山メンバーに対して辛口の評価となっている。
昨年11月のBlogでは、ガイド協会調査委の中間報告を良く読んだ上で、もう一度考えてみようと思うと書いた。(
[URL])
今年の3月初めに最終報告書が公開されている(
[URL])。文章も内容も不十分な点はあるが、事故の経緯・低体温症・気象状況を詳細にまとめ、さらに、今後の提言まで含まれた、豊富な内容になっている。最終報告書が出てからすでに4カ月経過し、報告書に対しても多くの意見がある。
トムラウシ遭難の死亡原因は低体温症による凍死だった。当初、悪天候下、登山を強行し、多くの登山客が全身ずぶぬれになったために低体温症になったかのような報道がなされた。
私には疑問でならなかった点がいくつもあった。
「@どの程度の悪天候だったのだろうか」
「A当日登山を決定したガイドの判断は誤りであると断言できるのだろうか」
「Bまともなレインウエアーで下着までずぶぬれになるのだろうか」
「C低体温症の原因は何か」
「Dビバーク地点が2つになったのはなぜか」
「E登山者は全員が人命救助を優先したのだろうか?」
さらに、「F危機に遭遇した時登山者はどのような態度をとるべきか」という点が気になった。
報告書をみると、明らかにされたことがいくつかある。
@どの程度の悪天候だったのだろうか
トムラウシ山遭難事故調査報告書のP80〜P88に遭難発生時の気象について詳しく書かれている。
『
7月16日のトムラウシ山の気象は、大雪山では例年起きている気象状況であり、決して特異な現象ではない。また、同様の気象状況は、北アルプスの稜線付近でも起きていることが確認された。』
Bまともなレインウエアーで下着までずぶぬれになるのだろうか
女性客Hさんは、低体温症になって南沼でビバークし無事生還したが、Hさんによると雨具を通しての濡れはなかったとの証言している(トムラウシ山遭難事故調査報告書P54) 。このため、
レインウエアーの性能に問題はなく、多くの人が下着までずぶぬれになったわけではない。
A当日登山を決定したガイドの判断は誤りであると断言できるのだろうか
報告書では、判断の誤りとしているが、理由は良く分からない。
C低体温症の原因は何か
報告書では低温と強風としているようだが、詳しく解明していない。
なお、報告書には、同じ日に同じコースを歩いた伊豆山岳会の証言が記載されている。
『トムラウシ分岐付近よりメンバーのA(67歳、女性)さんがよろよろし出し、足がふらついてまっすぐ歩けず、仲間の問いに対する返答がなくなった。…仲間が差し出したお湯を5杯飲んだ。この時、ザックからダウンジャケットを出して雨具の下に重ね着した。』
ザックにダウンジャケットがあったのに、それを着ないでいたら低体温症になっているようである。低体温症になる前に着なかった理由は記されていない。
着るものがなかったとか、あったけれど濡れてしまったとか、そういうことが原因ならば、装備不良・装備ミスとも言えるし、気温が低かったためだともいえるだろう。でも、
防寒具を持っていたにもかかわらず、使わなかったために低体温になったのだとしたら、装備の問題でも気温の問題でも無く、別な原因ではないか。
DEFについて、報告書には明確な記述はない。
後日、続きを書きます
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