トムラウシ遭難考(8)
2009-11-04


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トムラウシで死亡した直接の原因は低体温症です。では、なぜ、低体温症になったのか、この一番肝心な点が分らない。無事生還した登山客の中には、ツアーガイドが衣服の着脱の指示をきちんとしなかったことや、行動不能者が出たときに、その場に停滞したことが、低体温症の原因であると言っている人もいるようです。低体温症になる前に、寒くなったら厚着をするという当たり前のことが出来なければ、登山どころか、通常の社会生活を送ることは困難でしょう。こういう人たちが、登山をして、『ガイドは客が寒いのかどうかを適切に判断して客の防寒処置をしろ』『登山者が寒くて困ったら、県警は命がけで助けに来い』などとの考えが一部の不良登山者に流布してしまったら、今後、遭難事故が多発する恐れがあります。さらに、登山中に停滞することがあるのは、当たり前です。

 知らず知らずに低体温症になることはなくて、その前に『寒い』と感じたはずです。痴呆老人ならばイザ知らず、普通の人ならば、寒くなったら着衣を増やして防寒する筈です。元々、装備不足だったのか、あるいは、防寒衣を濡らしてしまったのか。
 生存者に、着衣やシュラフを濡らしたとの証言が有ります。登山用雨具を着用しているならば、ずさんな着用方法でない限り、雨で内部がビッショリ濡れるとは、ちょっと考えられません。
 シュラフを買い物袋に入れていたと証言している登山客もいますが、それで濡らしたとしたら、あきれ果てます。シュラフを買い物袋に入れてザックにしまっても、特に悪いことは無いのですが、ザックの中で濡れないようなパッキング・ポジショニングすることが必要です。私は、衣類など濡れるといけないものは、ポリ袋を使うことが多いのですが、ポリ袋は破れやすく、開口部から浸水したらおしまいなので、濡れないようにパッキングには注意しています。

 写真は、モンベルのスタッフバッグ。簡易防水タイプです。これだと、正しく使えば、持ち運び中に衣類を濡らす危険は少なくなります。でも、完全防水ではないし、口の部分の閉じ方が独特なので、誤った使い方をしてはなりません。道具は持っているだけではなくて、正しい使い方が出来ないと、いけません。

 2009年7月のトムラウシ大量遭難の原因は不明ですが、ガイド協会調査委は11月末にも中間報告を公表する予定だそうです。中間報告を良く読んだ上で、もう一度考えてみようと思います。

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