2009-07-27
7月16日、北海道大雪山系トムラウシ山で、18人パーティーのうち8人が凍死する痛ましい事故がありました。このパーティーは危機に直面したときに、全員が人命救助を優先させようとしたのか、疑問です。
新聞やTV放送では、遭難事件の一般的概要は、ある程度明らかになってきていますが、登山に参考になるような詳しいことは、必ずしも十分に報道されていません。今後、登山雑誌等で、遭難のもう少し詳しい状況が明らかにされることを期待します。
当日の気象状況は、朝は雨だったけれど、寒冷前線が正午頃抜けて、午後からは天気が回復することが予想されていた。このような気象条件は珍しいことではないので、転落等の危険箇所が無い山域ならば、多くの人は出発するでしょう。私ならば、確実に出発します。
ヒサゴ沼避難小屋を出発した一行は、平坦・やや登りの道を歩いて、ロックガーデンに到着。ここは、道は登りで悪路なので、雨のとき大変でしょう。靴がずぶぬれになるかも知れないけれど、しっかりした登山用雨具ならば、膝上がぬれるようなことは無いでしょう。
ロックガーデンを抜けると、比較的平坦な道が30分ほど続いて、北沼分岐に到達しますが、この間、一行の健康状態がどうだったのか、報道では伝えられていません。ガイドの判断が適切だったか、この区間が最重要な気がします。
北沼分岐あたりで、北沼から水が溢れ出し、道が川のようになっていて、渡渉が大変だったとの証言が有ります。ただし、川に流されたとか、そういうことは無いので、ガイドの渡渉サポートは十分だったと推定します。渡渉で、膝まで濡れたのか、腰まで濡れたのか、この点が重要ですが、報道では分りません。ただし、普通に渡渉しているようなので、腰まで濡れるような水量とは思えませんが、ひょっとしたら、水中で転倒して、ずぶぬれになった人がいるのかもしれない。
渡渉直後に女性一人が行動不能になり、ガイド1人とともにビバーク。さらに、少し歩いた地点で、女性3人が行動不能となる。
新聞によると、死亡した人は、下着までぐっしょり濡れていたとの情報が有ります。ちょっと信じられないけれど、もしそうだとしたならば、ビバーク時点で、濡れた下着を脱ぐ必要があった。特に、コットンの下着が濡れた場合は、脱がないと危険です。ウールのセーターとコットンの下着を着ていた場合は、ウールのセーターを強く絞った後、直接ウールを着ると、体温低下が防げます。
ガイドは具合の悪くなった女性の下着をすべて脱がせることができるだろうか? 同行者の中に、女性客がいたことは確かです。下着が濡れていないか確認してあげなかったのだろうか?下着を脱がせてあげようとしたのだろうか?(下着が濡れることなど、想定の範囲外かもしれない。)
まともな登山用のレインウエアーで、下着までぐっしょり濡れることってあるのかなー。渡渉中転倒して水没したか、山をなめきった人が粗悪な雨具を着ていたか、袖口をしっかり止めない等ずさんな着方をして、開口部から雨が侵入したか。私の持っているゴアテックスのレインウエアーは、半日ぐらい風雨にさらされた程度で、雨水が浸透することなどありません。昔、使っていたハイパロンのレインウエアーだって、水が浸透することなど決してなかった。もっとも、ハイパロンは汗を通さないので、汗でぐっしょり濡れて、不快極まりなかった。
合計4人の登山客の様態が悪くなったとき、1人の登山客(男性)は、ビバーク作業を手伝い、他の10人は、手伝うことも無く、吹きさらしの中で、突っ立って、付き添いのガイドに、ああしろ、こうしろと文句を言っていたようです。特に、戸田氏は、携帯電話が通じないにもかかわらず、『救助要請しろ』と同行ガイドを怒鳴りつけていたことが、本人の証言で明らかになっています。(ガイドに言ったのではなくて、全員に大声を上げて主張したのだとの話も有ります。)
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