北方領土問題(その3・・・ロシアの立場)
2009-02-03


1946年1月末、GHQ指令で、日本が正式に千島の施政権を中止させられると、ソ連は、直後に自国の領土へ編入しました。このとき以降、ソ連・ロシアの国内法上、千島はソ連・ロシアの領土になっています。そして、歯舞を含む全千島はロシアの正当な領土であると一貫して主張しています。
 
 1956年、日ソ共同宣言が締結され、ソ連は、日本国の要望および日本国の利益を考慮して、歯舞群島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意しました。

 ロシア政府は、「引き渡す」となっているため、引き渡す前は、ロシアが正当に領有していることが前提になっていると解釈しています。日本政府は、「引き渡す」は単なる物理的移転を意味しているに過ぎず、領有の正否には触れられていないと解釈しています。将来、日本に歯舞・色丹が返還されることになった場合、ロシアがこれまでの領有が正当であることを日本が認めることを条件にする可能性があります。
 こうなったとき、日本はどうするのだろう。不当であると主張して、返還をさらに先延ばしにするのか、現実的利益を求めるのか、難しい政治判断が求められることになります。逆にいうと、現在ロシアが領有していることを不法占拠のことばで、日本国民に植え付けておくことは、歯舞・色丹の返還を阻止し、日本に領土が決して返還されないために、きわめて有効な手段です。

(つづく)
[日露・日ソ関係]
[領土問題]

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