サンフランシスコ条約11条の訳語−「裁判」とは何か「判決」とは何か
2005-09-21


たとえ虚偽を吹聴するいいかげんな著書であったとしても、せめて広辞苑ぐらい調べて欲しい。


補足:
 1971年沖縄返還協定第5条4項です。

4. Japan may continue the execution of any final judgments rendered in criminal cases by any court in the Ryukyu Islands and the Daito Islands.

 この、final judgments は日本文では「最終的裁判」です。この訳語が「最終判決」だと、ちょっと困ったことになります。重い犯罪者は裁判で判決が下されるけれど、科料や低額の罰金程度の軽微な犯罪だと、裁判所の略式命令で済まされることが多いと思います。命令は判決ではないので、「final judgments」が「最終的判決」になっていたならば、軽微な犯罪だった場合、罪がなくなってしまいます。「最終的裁判」だと、略式命令も含まれるので、罪を免れなくなります。

 ということで、judgmentの訳語は、裁判・判決ともに正解、むしろ裁判が正解の場合が多いと言うことになるでしょう。
 英和辞典を幾つか調べてみると、一般用は、最初に「裁判」次に「判決」となっているものが多く、学習辞書は最初が「判決」になっている場合が多いようです。

(反論・意見は歓迎しますが、刑事訴訟法44条も読んでないような低レベル反論はご容赦ください。)

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